『羅生門・鼻』芥川龍之介(1968年)③完
引き続き『羅生門・鼻』ですが、ようやく読み終わりました。今週読んだのは「邪宗門」「好色」「俊寛」です。
全体を通して古典や史実が元ネタの話が多く、知ってたらもっとわかって面白いんだろうなーと思いながら読みました。知らなくても結構面白かったです。
今回は各話感想はサクッと。
「邪宗門」
これ、本に収録されてる中で一番長い話で、しかも未完なんです。それも登場人物がどういう人かわかってきて、ストーリー的に面白くなって(宗教的な能力者バトルみたいな)一番盛り上がりつつあるところで突然終わっている。ここで終わる!?ってなりました。続き気になっちゃうなあ。
「地獄変」の続編らしいのですが、恥ずかしながら読んだことないのでそっちも読んでみたいです。
「好色」
一番面白かったのはこの話かもしれない。語り手の男の性格がやばくて面白いんですが、この男が頑張って落とそうとする侍従が滅茶苦茶強くて笑いました。文体もコミカルな感じで読みやすかったですね。一言で言うなら、調子こいてるプレイボーイが格好悪く敗北する話です。
この話、ホモソーシャルの嫌なとこがめっちゃ克明に描かれてるなと思ったんですが、芥川もそう思って書いてたのかもなあと思いました。女は獲物じゃないのだよ。平中と範実が酷くて義輔だけ比較的実直に描かれてましたね。しかし平中みたいな男って実際にいるものなんですか?出会いたくないなあ。
「俊寛」
島流しに遭ったお坊さんの話なんですが、この人のキャラがなかなかよかったですね。ポジティブで視野が広くて面白いおじさんが目に浮かぶ感じでした。「泣くより笑え」はシンプルでいいなと思いました。そしてこの人が語る他の人もなかなかキャラが濃くて面白かったです。
面白いんですけど、話としては全体的にしんみりした雰囲気もあって、本の最後にこういう話が来るのは良いなと思いました。
という感じで芥川龍之介『羅生門・鼻』一先ず読了です。いろんな話が入ってて面白い短編集だったな。もうちょっと教養がついたらまた読みたいですね。