のばらの読書録

日々読んだ本の記録をしていきます

『偶然の祝福』小川洋子(2000年)

 例によって図書館で借りて、小川洋子『偶然の祝福』を読みました。

 小川洋子の作品は『博士の愛した数式』しか読んだことがなかったのですが、穏やかに落ち着いていつつどこかドライな語り口がいいなと思いました。

 短編集ですが、失うことにまつわるうら寂しい不思議な感覚が全話に通底していました。失踪者の王国の話やお手伝いのキリコさんの話、弟を見舞いに行く女性の話が特に印象に残っています。

 私は子供のころ整理整頓が苦手で、よく小さな持ち物を失くす子でしたが、そのたびに失くしたものの行く末を想い悲しい気持ちになっていたのを、この本を読んで思い出しました。そんな感じの本でした。

 今は武田砂鉄『偉い人ほどすぐ逃げる』と伊賀忍者研究会『忍者の教科書』などを読んでいます。読み終わったらまた更新します。それではまた。