のばらの読書録

日々読んだ本の記録をしていきます

『偉い人ほどすぐ逃げる』武田砂鉄(2021年)

 今回はちょうど一カ月前に発売された、武田砂鉄『偉い人ほどすぐ逃げる』を読みました。TBSラジオ「アシタノカレッジ」金曜日を聴いていて、オープニングトークで話されていた告知が面白そうだったので発売日に購入しました。それから日々少しずつ読み進め、先ほど読了した次第です。

 内容は2016年から『文學界』で連載しているコラム「時事殺し」から選んでまとめたものということで、過去5年間にあった様々な問題を一つ一つ思い出させてくれる一冊でした。思い出させてくれると書きましたが、私が把握していなかったものもいくつもあり、そんなことがあったのか、とため息をつくページもありました。

 この本で改めて堀り起こされた問題たちには、今も決着をつけられないままになっているものが多いと感じます。去年、今年の一年半ほどを思い起こしても、毎月、毎週、新しい不祥事や権力者・著名人の問題発言などがあり、一つ一つがすぐに新たなニュースの下に隠されてしまって、大きな問題が未解決であってもつい忘れそうになります。そういった問題を「そういえばあれ、どうなった?」と思い出せるこの本は、とても有意義だと思いました。