のばらの読書録

日々読んだ本の記録をしていきます

『蹴りたい背中』綿矢りさ(2003年)

 数冊並行して読んでるのですが、今回はとりあえず読み終わった綿矢りさ蹴りたい背中』です。

 

 2003年の作品で、芥川賞受賞作として話題になったのを覚えています。私は当時小学生で、気にはなりつつ何となくタイミングを逃し続けて早18年。先日何か小説を読もうと思い、図書館で借りてきて読みました。

 物語の主人公はクラスで孤立している女子高校生・長谷川初実で、その不器用でドライな感性が個性的な印象を受けました。高校生が主人公の小説を読むと自分の高校時代を思い出します。私も友だちが少なく、仲良しグループに入れない方でしたが、初実とは違ったなあと思いました。この主人公、初実はすごく周りをよく見ています。クラスや部活の人を冷静な目で観察し、自分の立ち位置を一段上から見下ろして把握しているかのように見えるのです。初実は今たまたま周りに相性のいい人がいないというだけで、他人に興味がないわけではないんだろうなと思います。私は昔から自分と自分に向こうからかかわってきてくれる人にしか関心がないので、クラスの人の名前もなかなか把握してなかったりしたなあと思い出しました。

 初実には一人だけ友だちと言えるような子・絹代がいて、この距離感も独特なんですが、リアルだなと思いました。深く分かり合ってるわけではないけど、一緒にいるのが苦にならない、いないと少し寂しいような友だちって、学校にいたかもしれません。

 本題に触れないような感想になってしまいましたが、にな川の独特な気持ち悪さと不器用な憎めなさも不思議な味わいのある作品だなと思いました。

 今回はこのあたりで。今は戦国時代や忍者に興味があるのでそういう本も読んでいます。あと他にも小説も読んでるので、次はその辺のどれかになると思います。